何時までもこの関係が続く筈がない。
それは良く解っている。
けれど。
<無邪気な関係>
この関係に執着してしまう。
此処から先へと進めば戻れなくなる。
それは嫌。
ずっとこれで良い。
ずっと…。
あたしと忍足は唯のトオダチだから。
今みたいにこうやって喋れれば良い。
それ以上を望んじゃいけない。
だって忍足の事が好きで、それでも話せない人なんていっぱいいるんだ。
今話せるって事は最高なんだ。
その内話も出来なくなる。
そう思い込んで、トモダチの位置を掴み取った中2の夏。
「あれ、忍足どうしたの?」
放課後の教室に忍足がいる事なんて滅多にない。
3年がいるとは言え、実力主義な氷帝は2年だろうが1年だろうが上手い人間はレギュラーとして認められる。
現に跡部がそうなのだ。
忍足も上手いのだから直ぐにでもレギュラーを掴み取るだろう。
「あぁ、何か呼び出されてな」
…告白か。
最近良く忍足は呼び出される。
それが何なのか知ってる。
けど、忍足はあたしに言わない。
何だか無性に悔しくなった。
その気持ちを持つ事が間違ってると解っていても、自分で選んだと言っても。
悔しくて堪らない。
「じゃ、別の所にいた方が良いね」
気を使ったんじゃない。
そんな忍足の姿が見たくなかっただけ。
だから自分の机から、教室から出たかった。
見えない所で忍足に告白した、見た事もない女の子の顔を想像してる。
そうすれば、実際にその子を見てから受けるショックよりは薄くなる筈。
そう…早く出て行かなきゃ。
「別にえぇよ?そんな事しなくても」
如何してこの男は解らないのか。
見たくないのだから、早く出させて。
「良いよ、邪魔になるだろうし」
「ならんて」
…如何して汲み取ってくれない?
見たくない、忍足が告られてる所なんて。
早く…!
「あの…」
ドアを開けて入って来たのは3人の女の子。
真ん中にいる子。
良く忍足の部活を見てた可愛い子。
恥かしそうにしてるから、この子が…。
「急いでるから早くしてくれん?」
最悪だ…見たくない。
いたくない。
「でも…」
「か?友達だからえぇやろ?」
巻き込まないで欲しかった。
忍足の事に、あたしは…。
真ん中の女の子はジッとあたしを睨んだ。
出て行けと言う無言の訴え。
勿論その子に腹が立たなかった訳じゃない。
「何?自分らかて友達連れて来てるやん」
忍足の考えてる事は解らなくはない。
けど、告白したい女の子からしたら最悪。
あたしも最悪。
忍足はこの子からの告白を聞きたくないんだ。
だから…。
「一人で何も出来んのに、人の事は何か言うん?」
そうこうしてると忍足が口を開いた。
その一言は止め。
女の子が何も言わずに帰るのを見送った。
そしてもうきっと忍足の前には来ないだろう。
「助かったわ、使って悪かったな」
あたしが忍足の傍にいれば、今みたいなのに使われる。
それは十分承知の上。
離れられない理由。
今見せた忍足の笑顔。
それがあるから、だから離れられない。
この関係を壊す訳には行かない。
だから怖くて崩せない。
トモダチで傍にいられるならそれでも良い。
そう思った。
2006/08/10
勝手に作ったお題に挑戦中。
GLAYの恋と言う歌の歌詞から多少弄ってつけたタイトル。
手探りで1コずつ消化するので、話が前後したり意味が解らなかったりするかもですが。
長い目でご覧下さい。