<ピアス>










あの人と同じ色のピアスを見付けた。
紫色の透通る様な綺麗な石の付いたピアス。
綺麗過ぎて手に取ったらもう会計にしてた。
中々会えないからせめて同じ色のピアスだけでも。









買ったのは良いけどあたしの耳は未だ穴の無い耳。
開けるのにはやっぱり抵抗がある。
痛くないって良く聞くけどやっぱり痛そう。
…耳鼻科で開けて貰えば良いか。
友達を無理やり連れて耳鼻科に行こうと考えて手にしている袋を開ける。
中に入っているのはやっぱりあの人と同じ色のピアス。
太陽の光に翳すとキラキラと輝いて凄く綺麗。
直感で物を買うのは良くないって言うけどこの買い物は当たりだと思う。
此れ程気に入る買い物は滅多に無い。









「ゴメンね無理やり付き合せて」
次の日の学校帰りにクラスメイトを誘って耳鼻科に行った。
「良いよ〜。にしてもがピアスとはね」
驚いたよと良いながら道を歩いた。
学校から耳鼻科まではそう遠くない。
のんびりと歩いて耳鼻科まで向かう。
「そうかな?」
「うんビックリ」
髪の色は黒。
純潔の日本人だしね。
スカートだって先生に注意される程短くない。
勉強もそこそこしててまあ普通の生徒。
「校則違反じゃないけどさ」
違反ではないがピアスの穴を開けると言う行為があたしと結び付かないらしい。
「ま色々合ってね」
ふーんと言ってそれ以上は聞いて来なかった。
あたしが言わなきゃ深く聞いてこないし無理やり聞き出そうとはしない。
だから彼女と一緒に来た。












喋りながら歩いてるとあっと言う間に耳鼻科に着いた。
「15分程お待ち下さい」
受付に診察券を渡すと席を進められた。
何時もよりは全然空いている。
「良かったね空いてて」
同じ事を考えて居たらしい隣に座って微笑んでいた。













「…あのね、ちょっとだけ寂しいの」
会話のなかった中であたしは思い切って言ってみた。
「うん」
只頷くだけで話を促した。
「彼氏と会えないの」
仕事の忙しい年上の彼だからそれは解っている。
了承して付き合ってるのだから。
「だから同じ色のピアス…なんて考え甘いかぁ」
苦笑して彼女を見てみたらとても優しく微笑んでた。
「良いんじゃない?」
あたしは絶対笑われると思った。
でも反面彼女を信頼して絶対笑わないで真剣に答えてくれると思った。
ちょっとだけ涙が出た。
は寂しんでしょ」
なら良いじゃないそう言ってあたしにハンカチを渡してくれた。















それからすぐにあたしは診察室に呼ばれた。
作業はすぐに終わって透明のピアスを付けて貰った。














彼女はあたしの両耳に空いたピアス穴を見て笑った。
「似合うよ」
彼女と一緒に耳鼻科を出て行った。













これからは彼女みたいに笑いたいと思った。
笑えるだろうと。

















「最近は会ってる?」
一緒に耳鼻科に行ってから1週間が経った。
それから会って話をしてるかと聞かれたが答えはNO
電話もメールもしてない。
首を横に振って笑ったら涙が溢れそうだった。
「…今日一緒に帰っても良い?」
あたしが言えるのはそれだけで只一緒に居たくなった。


















彼氏と連絡を取ったのは約2週間前。
それからはあたしも連絡を取ろうとしてない。
社会人と付き合おう何て無理があったんだ。
半ばあたしは諦めかけてる。
あたしは高校生で相手にされないお子様だった。
そう思えば少しは気が楽だし、これから別の人を探せば良い。
「そっか…」
学校帰りに寄った喫茶店でアイスティーを飲みながら今の自分の気持ちを打ち明けた。
あたしの耳にはピアスが付いてる。
でもそれは同じ色のピアスじゃなくて、あたしが欲しくて買ったピアス。
あの紫のピアスはあたしの机の引き出しの奥底で眠っている。
きっと両耳に付ける事は無いだろう。
あたしの中で吹っ切れた思い。
未だ整理はきちんとされていないけど…。
整理が出来たらあのピアスは捨てる。
あたしの気持ちと一緒に。













さよなら、三蔵。




















何だか最初は甘いのに逃げ様としたんだけど、やっぱり悲恋が書きたくて。
最後の最後まで三蔵の名前は出ませんでしたが一応三蔵様がお相手で。
こうしたい!!って思って書いた訳じゃないから色んな所で矛盾点が…。
もっと行動とか背景とか上手く書ける様になりたいです…。
ボキャブラリーが欲しいと本気で思います。
心の移り変わりが全く解らない作品になってしまった…。
2005/08/05