綺麗にラッピングされた箱にリボンを着けて……


大切な人への贈り物。







<紙袋>





「ちょっと三蔵、見て見て」
得意の寄り道。
少し出かけただけなのに、いろんな店を周りたがる。



「…今度は何だ」
半ば呆れ顔で、 に付き合う。



「私時計って持ってなかったでしょ?」
可愛い時計があるの。
と言い出した時には は、三蔵の隣には居なかった。



「三蔵!こっち!!」
電気屋の前で手招きし、三蔵を呼ぶ。



「何だ…」
不機嫌な顔をしつつも、 の処まで行く三蔵。



「見てみて、この時計!可愛いっ!!」
「………」
「何?その興味のなさそうな顔は!」
「興味ないからな」
「酷いなぁ、……あの時計欲しいかも……」
「なんか言ったか?」
「なんでもな〜い」
「なら、帰るぞ」
「はいはい三蔵様」



後ろ髪を引かれながらも、先を行く三蔵に着いて行く
途中何度も振り返りながら。





明日、買いに行こうかな…。
の様子を横目で見ながら、其の日の寄り道は終わった。






家に着いても、時計の事ばかり考えてしまう。
売り切れていたら……。
そう考えると、明日朝一で買いに行く事を決める。






「うっそ〜!!!!!!」
次の日の朝、目覚ましが止まっている事を憎んだ。
電池が切れていて、2時50分を指している。
実際に動いている時計は11時30分。
開店は10時から………。
あのデザインは売れていると店員が言っていた。
買われている可能性大!!









ぶつくさと独り言を言いながら着替えて財布を手に持つ。
そして、リビングへで寛いでいる三蔵の横を通り過ぎ、
何も言わないで家を出る。
三蔵は其の光景を騒がしいヤツだ、と言いながら見ているだけだった。








「………ただいまぁ〜」
ドアの音と同時に聞える元気のない声。
溜息を吐きながらリビングへ入る。



「ショック〜………はぁ…」
隣で珈琲を呑む三蔵は悠々としているのに、
はテーブルに突っ伏している。



「……………さんぞ〜」
「……」
「時計…売り切れだった……」
「バカが」
「すっごく欲しかったのに」
「直ぐ買えば良かっただろ」
「だってお金なかったし……」
会話をしながらも、机に突っ伏したまま。




「…おい、珈琲」
「自分でやってよ、私はセンチメンタルなの」
「珈琲」
有無も言わせない三蔵の声でゆっくりと立ち上がりキッチンへ向かう。
その間にも、買っとけば良かった…、
もう一度行っとけば良かった…
等と後悔の言葉を口にする。




のんびりと珈琲を持ってくると、
先程まで自分がいたテーブルの前に怪しげな紙袋が置いてあった。



「何コレ」
さして興味もなさそうに紙袋を見る。



「三蔵、珈琲」
「ぁあ」
三蔵の元まで珈琲を運ぶ。



「ねぇ三蔵、アレ何?」
テーブルの上の紙袋を指差す。




「開ければ良いだろ、気になるなら」
そう言われたからだろう、開けてしまった。
包装紙は空色でリボンは桃色。
綺麗にラッピングしてあってリボンで止めてあった。
破らないように丁寧に袋を開ける。







の事など見向きもしないで三蔵はテレビを見る。







「三蔵!!」
包まれていたのは箱で、その箱を開けると時計が入ってた。



「ありがとう」
そう言って微笑む は、三蔵の隣に座る。



「コレ何で?」
「それが最後らしい」
時計を箱から取り出して腕に着ける。



「でも、言ってくれれば私買いに行かなかったのに」
買いに行って売り切れでショックを受けてた訳だ。
買ってあるなら最初から言って欲しかった。
三蔵の性格上絶対言わないだろうが…。







「嬉しいな、三蔵からのプレゼント」
「安上がりだな」
「良いもん」
「時計自体は其処まで高くないだろ」
「そうだけど良いの」
「………」
「三蔵から貰った事に意味があるんだし」









紙袋の中に入ってた三蔵からのプレゼント。





 

 

 

甘いの目指しましたが撃沈です。すみません。
コレ今日緋桃が時計を買って貰ったからです。
コレつまんねぇ。自分で読み直して思った。
才能無いって辛いな………。
感想・ダメだし教えて下さい