<霜月>
神無月…旧暦の10月を指す。
神のいない月。
「悟浄、もう11月だよ」
あっと言う間に1年が過ぎ様としている。
今年も残す所約2ヶ月。
「早いな…」
外を歩いている為、赤く色付く紅葉や楓が鮮やかに眼に映る。
公園の前を通ると植えられている銀杏が黄色に染まっていた。
はらはらと音を立てて宙を舞落ちて行く。
「綺麗だね」
この美しい光景をその言葉でしか現す事が出来ないでいるもどかしさが生まれる。
「そうだな…まのが美人だけどな」
おどけて言う悟浄に苦笑いを浮かべて空を仰ぐ。
爽やかで鮮やかな秋晴れとなっていた。
「悟浄…ハピバ」
11月に生まれた彼の誕生日を知らない訳がない。
まして彼女なのだから。
「さんきゅ」
そう笑う悟浄は少しだけ幼く見えた。
「プレゼントはないんだけどさ」
俯いて申し訳なさそうに打ち明けた。
「いいって、がいれば」
少しだけ距離のあった二人を埋める様に悟浄のコンパスの幅が少し狭くなった。
解るか解らないか程度に。
それに気付いたのか気付いていないのか、は嬉しそうだ。
「何だ?」
気になった悟浄は声を掛けてみるが返事はない。
「10月の…神無月ってね、神社に神様がいない月なんだよ」
字の通りだ。
それくらい解ると言いたい所だが、何故か未だに嬉しそうな顔をしている為続きを促すしかなかった。
「それでね、出雲神社に集まるんだって」
其処まで知らなかった悟浄は初めて聞く話に興味津々である。
「へ〜それは知らなかったわ」
煙草を加え火を点ける。
ゆっくりと一口目を味わい吐き出す。
消えて行く煙を横目には話を続ける。
「其処には恋の神様が集まって話し合うんだよ」
煙草の煙が掛からない様に吐き出す。
意思疎通と言うのだろうか。
顔を見合わせては笑った。
別に神を心から信じてる訳じゃない。
都合の良い時だけ信じてしまう。
「悟浄と一緒にいられますように」
「とずっといられますように」
何もない空に向かって二人はそう言った。
「ずっとって言葉抜けてないか?」
自分との台詞の差に気付いてかに聞く。
「良いの」
「何で?」
返事に不満なのか悟浄は少しだけ整った眉を動かす。
「だって、ずっとなんて要らないもん」
有り得ないのだとは言う。
「…まあな」
「今一緒にいたいの…今じゃなきゃ意味がないの」
これから先に何があるか解らないから今だけで十分なのだ。
「永遠なんて有り得ないから、今いたいって気持ちだけで良いの」
そう言って隣にいる悟浄の手を握った。
「何?」
普段はから手など繋がないので悟浄は焦っていた。
「永遠なんて信じないけど、信じたい」
自分でも矛盾だと解っている。
信じたい気持ちと信じてはいけない気持ちもある。
「一緒にいてね」
弱々しく手を握るの手を強く握り返す。
まるで悟浄を見失いそうで怖いのだと言っているかの様だ。
「11月は?」
「霜月って言うの」
寒くなる冬の季節を表すのにぴったりな名称である。
「悟浄の誕生月なんだよ」
「今日、ずっとといるんだぜ?」
だから大丈夫だと言ってもきっと今は信じられないだろう。
積み重ねた歳月が信頼を得るのだから。
未だ浅い歳月では心では信じたがってもそうは行かない。
「ん、誕生日おめでと」
精一杯の至福の時を。
霜の降りた夜の、冷たく澄んだ月に生まれた。
悟浄ハピバ!!
でもって中途半端な小説でゴメン。
めちゃくちゃ間違えてて11月が神無月だと思ってたんだよ。
途中で気付いたから無理矢理な路線になってしまった…。
無理せず止めときゃ良かったよ。
でもでも、ハピバです!!
永遠の23歳(笑
2005/11/09