<APPLE & HONEY>
少し前に別れた彼女は甘い甘い味がした。
林檎と…蜂蜜の味が………。
朝の登校中、今日は偶々朝練がなかった。
だから何時もより大分遅い時間に家を出た。
そして普段より人通りの多くなってる通学路を1人で歩いていた。
「おはよ」
笑顔で出迎えては居るがもうコイツとは無関係だ。
そう思って俺はコイツからの挨拶を無視して学校へと向かった。
そんな俺の態度を見たからかこれ以上深追いして着いて来る事はなかった。
それで良い。
俺はそう思っていた。
朝の学校は騒がしい。
教室に居ても廊下に居ても昨日の夜の話だとかで盛り上がっていて静かに出来る場所なんて何処にもない。
フラフラしてれば声を掛け様としてくる女がウザイ程居る。
教室に居てもそれは変わらない事だが…。
だけど何となく教室には居たくなかった。
教室を出て向かう先は誰も居ないであろうテニスコート。
其処は関係者は立ち入り出来ない。
だからきっと1人で落着ける。
そう考えたからだ。
案の定誰も居ない。
適当にベンチまで行き其処に座る。
授業の予習などとっくに終わっている。
やる事等何1つない。
予鈴が鳴るまでの短い間をボーっと過ごす事に決めた。
ボーっとしてると考えるのはアイツの事。
今何してるのかとかさっき俺の言葉を聞いてどんな顔をしたか…。
考え始めるとどんどん出て来る。
俺の頭は直ぐにアイツの事でいっぱいになった。
予鈴が聞こえても動かす気になれない。
それでも授業がある為立ち上がり校舎へ向かって重い足を動かした。
「おい、跡部聴いたぞお前別れたのか?」
教室には未だ教師の姿はない。
同じクラスの宍戸が自分の席から立って俺の元迄来た。
宍戸の口からは何度も聞いた言葉。
俺が彼女を作って別れるのは稀な事じゃない。
だから普段はほおって置かれる。
誰も俺に干渉等しない。
それなのに今回だけはテニス部の連中が執拗に聞いて来る。
それもその筈だ、俺が付き合ってた女の中で1番長い間付き合ってた女なのだから。
「関係ないだろ」
「有るって俺、幼馴染だし」
宍戸の幼馴染の女。
甘い香りのする女だった。
「別れたらなんなんだ」
「理由も解らねぇで別れたって言っててよ…」
続く筈だった宍戸の言葉は鳴った本鈴によって遮られた。
慌てて席に着く宍戸。
宍戸の言葉が授業中頭から離れなかった。
昨日俺はふと持っている携帯のアドレス帳からアイツの名前を消した。
メールも、電話ももう受信出来ない様にもした。
それが何故かは解らなかった。
けれど今すぐ消してしまいたくなった。
何もかも。
アイツは一体俺が拒否してから何回メールを送っただろう…。
何回電話しただろう。
アイツの事だから何度も掛けて、泣きそうになってただろう……。
けれどそんな事は知らない。
知る必要もない。
自分から突き放したのだから。
−もう電話もメールもするな−
そんな短いメールが来た。
ビックリした。
その前兆はメールの返事が来なかったり、電話に出なかったりだったのかな。
そしたら急にこんなメール。
その後メールも電話もしたのに出てもくれなかった…。
拒否されてた。
悲しかった。
「おはよう」
次の日に景吾に話し掛けても景吾は無視してあたしの横を通り過ぎてった。
無表情であたしなんか目にも映してくれなかった。
中学に入って初めて授業をサボった。
唯教室にはいられない。
悲しいのか辛いのか解らないけど涙が止まらなかった。
1人で屋上に行って誰も来ない様に鍵をして。
ボーっと外を眺めてた。
あたしの気分とは逆に晴れていて凄く綺麗な青空。
涙が止まらない。
あたしは景吾に嫌われたんだ。
働かない頭で辛うじて考えられるのはその事だけ。
頭に響くのは景吾の打ったメールだけ。
そして誰にも取られないコール音。
制服のポケットから携帯を取り出してメールを打った。
届かない事も見られない事も解ってる。
けれどあたしの指は止まる事無く文字を生み出した。
ディスプレイにはあたしの打った文章。
躊躇ったけれど景吾に送った。
きっと直ぐに戻って来るだろう。
解ってる。
知ってる。
でももう景吾が居ないのに生きられないから。
携帯を握り締めて床に置いた。
フェンスを越えて…。
あたしに出来るのは景吾を好きな儘でいる事。
ガシャン
さっきあたしが居た場所には携帯があって、それから少し離れた所にあたしの靴。
後ろを振返ればあたしが閉めて来た屋上のドア。
もう何もない。
あたしは
青く綺麗な空に
身を投げるだけ
青い蒼い空に
本鈴がなったらあたしは
空の一部になるだけ
えっと、ヒロイン視点になるまでは実は続き物にして、別れた理由だとかそう言うのを書こうかなって。
けどヒロイン視点を書き出したら何だかこう言う風に手が勝手に動きました。
今もんのすごっくショックを受けてるんですよ。
跡部視点とヒロイン視点は別の日に書いたんです。
だから気分の違いが小説にも…。
名前変換もなくてゴメンなさいです。
死にネタです。
タイトルと関係なくてゴメンなさい
タイトルはKAT-TUNがCMやってるリップの名前です
目標達成です。
でも未だ死にネタ書きたいです。
つか死にネタ嫌いなかたゴメンなさい。
選び難いですよね…。
また変えようかなぁ。
2005/08/14