<Where are you?>



?」
慌しく走る音とドアを開ける音。
そして、名前を呼んでは落胆し次の部屋へと移る。
先程から幾度となく聞える声。
その声の持ち主は酷く過保護になってしまった様だ。

「っとに、何処行っちまったんだよ」
全ての部屋を見て周り、居ないと解ってからはずっとそう言っている。
イラつきを落着かせる為、煙草に火を点け深く吸う。

何度同じ事を言っても見付かる訳じゃない。
何本目かの煙草を吸い終わった所で大分頭が落着いて来た。
朝、何時もより遅く起きた。
何時もなら居る筈のの姿が見当たらない。
基本的に何処に行くにも事前に報告するだった為に、
心していたが今回は行き先も知らない。
不安が頭を過る。
出て行った………?
自分が辿り着いてしまった答えを強く否定し様とするが、
もしかして…と心の奥では思っている様だ。
背筋に悪寒が走った。

「ま、さか。な?」
拭い切れない不安と、自分の日頃の行動。
未だ朝食も取っていない悟浄は、其れでもの行方を気にする。
腹も減らないくらいに、の事が気になる。
ずっとソファに座って遠くを見る。
隣に在るのが当たり前だった温もりが無い。
家の中に響いた声が聞えない。
其れだけなのに、『其れだけ』とは流せない程、
は、自分の中で大きな存在になってる事を改めて知る。

「ダセェ…」
背凭れに寄り掛かりながら、もう帰って来ないかも知れないの帰りを待つ。



時間が長く感じた。
2人で居る時間はとてつもなく短いのに、今日は…とても長かった。
待ってる時間が、長くて、の温もりを早く感じたい。



「何処行ったんだよ、…」
煙草の煙と一緒に吐き捨てられて、行き場のない台詞。
誰にも、聞かれる事なく消えていった。









「ただいま〜っと」
が玄関のドアを開けたのは、悟浄が起きてから随分経ってからだった。
と言っても、未だ夕方である。

?!」
ドアの閉める音を聞き取り、悟浄は玄関に向かって凄い勢いで走って行った。

〜、何処行ってたんだよ…」
靴も脱ぎ終わっていないを強く抱き締めて、情けない声で呟く。

「え?何処って、私昨日言ったじゃない?」
美容室に行くって……。
聞いていた。
間違えなく聞いた。
只自分が忘れてただけだったが、
がいない事でこんなにも頭が回らなくなってしまう事に気付く。

「……俺、がいないと生きらんねー…」
掠れた事で安堵の息を付き、更に強く抱き締める。

「何?悟浄サンてば甘えてんの?」
長い付き合いである。
帰って来てからの悟浄の行動で、大体の今日の悟浄の行動を読んだらしい。

「マジ、ビビったんだって」
未だ抱き締めている悟浄を見て、は母親を探す幼い子供を連想した。

「……悟浄可い」
連想したと同時には口に出していて、ヤバいと思った時にはもう遅かった。

「へぇ〜?ってばそんな事言うワケ」
カッコいいじゃなくて、可いねぇ…。
ニヤニヤ笑い、を抱き抱え部屋へと連れて行く。

「ちょっ?!悟浄、降ろして」
の言葉は無視されたまま、悟浄は連れて行く。

「可いじゃなくて、カッコいいって言って貰おっかな?」
つーか言わせるけどね。
ウィンク付きで言われ、言葉を失う。

「心配したし、傷ついたし?」
ベットの上で慰めて貰おう。

「自分が忘れてただけじゃない!」
そう抗議したものの、上機嫌で歩く悟浄にの声は届かなかった。












それから、が出掛ける時に置き手紙を書いて行く様になったらしい。



 

 

最近、スランプ気味?
書く文に繋がりが…。
貰ってくれなくてもOKです。
其の時は、再びチャレンジします。言って下さい愛さん!!