「…ったく、修学旅行で同じ班になりたいからってあたしまで巻き込まないでよ」

修学旅行の班決め。
親友のと同じ班になるのは当たり前だけど、はあたしより彼氏を取りやがった。
寄りにも寄って、あたしが好ましく思ってないヤツと同じ班になったんだから…。














<はにかみgame 前編>














「ごめんって

心にもない事を…。
満面の笑みで言ったって嘘がバレバレだって。
の彼氏は忍足侑士。
氷帝テニス部の天才って呼ばれてるらしい。
あたしは聞いた事ないけど。
なんか2年の時から付き合ってるらしいんだけど気付いたら付き合ってた気が…。
息が合って楽しいって言ってたっけ。

「しゃーないやん」

へらへら笑う忍足侑士とペアを組んだのは氷帝1目立ちたがり屋の跡部景吾。
俺様ナルシーなトコが嫌いなのに世間はそこが良いとか…。
着いて行けん。

「俺様と同じ班になれた事、喜びな」

…………コメントもしたくないわ。

「あ、ねぇあたしと班変わってくれない?」

近くにいたクラスメートに声を掛ければからブーイング。

「一緒の班って約束したじゃん!」

「最初に彼氏取ったのはでしょ」

ギャーギャー騒いでたら先生が班決定を下した。
怨んでやる。
班長が跡部。
副班…補佐があたし。
…マジ最悪。

「ちょっと、と忍足でやれば良いじゃない」

勝手に決められて、納得する訳ないじゃない。

「「い・やvV」」

こんな時だけ声も揃えて…。

「俺様の補佐は不満か、アーン?」

「不満です、不満ですとも」

ホント、あたしこんな班で4日間も耐えられるかなぁ…。














あっと言う間に…。
あっと言う間に修学旅行前日だよ。
一応班での行動は決まったけど、殆どの行きたい場所だから俺様跡部は別のトコとか居そう。
あたし是でも貴重面だから気になるんだよね…。

「タオルでしょ…歯ブラシでしょ……」

気は重いけど、準備しない訳には行かないし。
最終確認で明日の準備。
4人の班だから人数少なくて良いけど。
ホントあの人達とやって行ける自信ないわ。

「あっと…充電機、充電機」

全部鞄に詰め込んで準備はすぐに終わった。

「…やる事ないし、寝るか」

少し何時もより早いけど明日早いし…。
      ピリリ…ピリリ…ピリリ………
……この適当な着メロは忍足。

「んだよ」

ちゃん、なるべくと2人にしてや(>人<)』

…何言ってんの。
そんな事したら必然的にあたしは跡部と一緒じゃないの!


『無理、跡部と行動なんて絶対無理』



送信!




勘弁して、跡部の相手なんて疲れるだけだから。
ピリリ…ピリリ…ピリリ……


『そう言わんといて、昼だけでえぇねん』

『昼以外あんたはに会わせません!』


何考えてんだ、忍足は。

     ちゃ〜らんら〜ちゃっちゃら〜

?」


温泉一緒に入ろv卓球もしょぅね★もち罰ゲームぁりで(≧▽≦)b』


なんか安心するわ、のメールって。


『当たり前じゃん!負けないからね』


と何通かメールをやって寝てしまった。
あれから忍足のメールは途絶えた。
と言うか眠くなってあたしが寝た。
その後の受信歴に忍足の名前が合ったけど、朝はメールチェックしてる時間なんてなくて学校に着いた。
長い長い4日間が今から始まろうとしてる。





「見て見て!

子供みたいにはしゃぐに苦笑してるとあたしの隣で睨み付けてる忍足が目に入った。

「何忍足」

短く聞くと眉を潜めたまま言った。

「俺のやで、何でちゃんばっか相手にすんねん」

…嫉妬して。

「あたしに嫉妬してどうすんの。しかも、はあんたのじゃないし」

あたしの大事なをそうも簡単に忍足なんかに渡す筈がない。

「せやけど、明らかに俺よかちゃんの方が呼ばれる回数多いで」

何を意識してるかと思えば。
変なトコで乙女な忍足を鼻で笑っての所に行けば笑顔で出迎えてくれる。

コレ」

そう言って来るは本当に無邪気で忍足になんか勿体ない。

「こっちも凄いよ」

あたしの腕を掴んで離さない様に引っ張るを見て、忍足は物凄い嫉妬の炎を燃やしてた。











「この旅館かぁ」

「思ってたより綺麗やんか」

「悪くないな」

約束の温泉絶対行こうね」

は自分の荷物を持ってあたしに抱き付く。

「解ってるって」

苦笑いしてると、跡部があたしを見てた。

、何でばっかなん?」

修羅場が始まりそうな予感…。
……しかも原因はあたし。

「だって、好きだもん」

普通の顔してさらりと言い退ける。

「俺とちゃんどっちが好きやねん」

何であたしがそこに入ってるの…?

「決まってるじゃんそんなの、に」

「ちょっと!?」

あたしを巻き込まないでよ。
何であたしが忍足に睨まれるの?
何でよッ!

「おい、喧嘩なら中でやれ」

跡部の声で周りを見てみるとかなりの人が見てる。
そりゃ、跡部と忍足とが揃えば。

ちゃん部屋貸してや」

「別に良いけど、あたしは?」

居る場所がないんだけど…。

「なら俺と忍足の部屋にいれば良いだろ」

…今跡部がなんか言った。
あたしが跡部との空間に耐えられる訳ないじゃない。

「荷物は持って行っとくから」

悪いなとか言わんで良いからあたしを部屋に戻せ!

「行くぞ」

「ちょっと!あたしに拒否権はないの?!」

最後に叫んでみたけど、笑顔で手を振る忍足しか見えない。

泣かした、らブッ殺すからね!」

半分以上跡部に引きずられて忍足に忠告した。
何であたしが跡部と居なきゃいけないのか納得なんて出来ないけど。
あの人だかりから逃れられて良かったのかなぁ…。











大丈夫かなぁ」

「……」

部屋に入ってからなんの会話もない。
つまんないからと忍足の事考えてた。
妙に不自然だったとやきもち妬いてた忍足。
跡部は何も話さないし、この部屋の空気は重い。
あたしが喋らない限り物音がしないのだから。
跡部を見ると授業中に掛ける眼鏡を掛けて読書中。
あたしの荷物は此処にない。
何もする事がない。

「暇過ぎ…」

忍足の寝るベッドに寝転びボソッと呟いたあたしの独り言はまたすぐに消えて行くかと思ってた。

「……そんなに気になるのか」

跡部があたしに質問して来た。

の事?」

返答がないから肯定なんだと思うけど、解り難いって。

「気になるよ。何でが怒ってるのかとかね」

が怒ってる事には気付いた。
けど何故怒ってるのかは忍足しか知らない。
だからと忍足が元に戻る為にあたしは何も出来ない。

「きっとすぐに元通りだよ」

心配はしない。
好きあってるから。

「お前は何故俺を避ける」

会話につながりがない。
いきなりこんな言葉聞いたら誰だって驚くでしょ。

「…苦手なの」

別に本気で嫌いな訳じゃない。
ただ苦手。

「何がだよ」

「ただいま〜」

の声に跡部の科白が被った。
案の定は嬉しそうに忍足と手を繋いでいた。

「すまんかったなぁちゃん」

満足そうな顔で忍足が笑う。
気持ち悪いくらいに…。

「敢えて何が原因かは聞かないでおくよ」

と忍足との喧嘩は少なくない。
喧嘩の理由とか聞いてるとただのバカップル。

「え〜後で話すよ」

「どーせただののろけ話になるんでしょ」

はホント嬉しそう。

「えへv」

ちょっとムカついた。
をこんな風に笑わす事の出来る忍足とのろけ話ばかり聞かせるに。










あの後、跡部はあたしに何を言おうとしたんだろ…。
あれから夕食の時も変わらずだったし。
何となくだけど聞き難い。








と一緒に温泉に行って風呂上がりにアイス食べて。
髪乾かして。
の髪を結んでたらがにやにやしてた。

、それキモイ…」

!」

怒ってるは溜息を吐いてまた笑い出した。
何を笑ってるのか全く解んなくて、聞いてみたけど教えてくれない。

「その内ね」

そう言ってはぐらかされた。
気になるけど此処までして駄目ならは教えてくれない。

「じゃしょうがない」

知ってるから、には聞かない。








「あ、侑士と跡部君だ〜」

風呂場から出て部屋に向かって歩いてると途中で2人に会った。

浴衣似合うなぁ」

忍足が得意な褒め言葉には満足そう。

「………バカップル…」

聞こえないくらい小さな声で言ったのに忍足には聞こえたみたい。

「なぁ、卓球やらん?ダブルスで」

「やりた〜い!」

「ヤダ無理」

「勝手にやってろ」

跡部とあたしはやる気なし。

「2人でやれば」

面倒で部屋に戻ろうとした。
付き合ってられないし。

「逃げるん?」

        はい?

「「逃げる?」」

っと跡部とハモっちゃったよ。
でも忍足、今のであたしは軽くキレたかんな。

























ちょっと長くなったので、前後編に分けてみました。
コレ結構前に書いた奴で勢いで携帯で書いたから短い文がずらずらと…。
読み難くて申し訳ないです。
たまにはヒロインの1人称も良いかな〜なんて。
如何でしょうか?
後半は卓球編です。
罰ゲームは誰が受けるんでしょうか。

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2005/08/10