<pass>
一行が泊まったとある町で知り合った少女。
その少女は15歳位の年齢で、不思議とジープに懐かれていた。
町で少女を見掛けたジープは一目散に少女の元へと飛んで行き、
少女の肩に止まった。
少女は驚きながらも、快く其れを向かえた。
少女の話しによると動物には良く好かれるらしい。
次に悟空も懐いていたから、頷ける話しである。
1日目に少女と出会った。
次の日にはこの町を出る予定だった為、名前も聞かずに別れた。
が、次の日の朝ジープは少女の元に行っていた為、
出発は延期となってしまった。
延期になってしまった為に三蔵の機嫌は悪い。
ジープの飼主である八戒は、
2度もジープが迷惑を掛けたと謝罪しに行った。
(少女に謝罪をすると口実を作り、三蔵の元から離れたのも本当である。
其処で初めて、少女の名を知った。
少女の名は。
年齢は15歳。
動物に良く好かれる能力を持った、優しい子。
コレが八戒が知る少女の全てである。
「さんは優しいですから、動物達が寄って来るんでしょうね」
ジープが膝の上から降り様としない為、
少しの間話しをする事になった。
「そんな事無いですよ」
八戒の言葉に嬉しそうに微笑み掛ける。
「でも、ホントにご迷惑を掛けてしまい…」
ジープの行動がに迷惑を掛けていない筈が無い。
そう思うと、口から自然と零れる台詞は
への謝罪の言葉だけだった。
「八戒さん、謝り過ぎですよ?」
先程から聞く八戒の言葉は謝罪ばかり。
其れに気付き、は指摘する。
「そうでしたね…すみま…」
指摘され、再び謝ってしまう八戒。
其れに気付いて2人は顔を見合わせる。
そして同時に笑い出す。
八戒とが楽しそうに話して居ると、
ジープはの膝の上で眠ってしまった。
「ジープ、寝てしまいましたね」
余程心地好かったのだろう、安らかな寝息をたて眠りに付いている。
寝て居る内に八戒はジープを連れて宿に戻る事にした。
ジープが起きてしまうと、またの元から離れないのでは…
と言う問題があったからだ。
「それじゃ、僕等は行きますね」
からジープを受け取り立ち上がる八戒に合わせ、
も立ち上がる。
「はい…」
名残押しそうにジープを撫で、手を離す。
「……僕等、明日の朝に出るんですよ。この町」
明日出ないと、三蔵の機嫌は悪くなる一方だから…
それに何時までもこの町に居る事は出来ない。
「…そうですか……」
寂しいですね。
の口から零れた言葉は余りに小さ過ぎて、
八戒にも聞える事はなかった。
「…夕飯一緒に食べませんか?」
寂しそうなに掛けた食事の誘い。
そうすればジープも確りと走ってくれるだろう…
「…悪い、です」
「ジープも喜びますし」
ジープの事を出されてしまえば遠慮したくとも出来ない。
強引に決められてしまい拒否権をなくす。
「行きましょう?」
にっこり笑って手を取られれば振り払える筈が無い。
諦めて歩き出すに満足そうに笑った。
「………」
八戒に食事を誘われ行って見たら
腹減ったーと騒ぐ悟空と其れを茶化す悟浄、其れにキレる三蔵。
と部屋はスゴイ有様だった。
部屋に入るなり余りの煩さにジープは目を覚ます。
八戒は何事もないかの様に3人を宥める。
は何も言えずに入り口で立ち竦んでいた。
其れを見兼ねた八戒は中に入る様促す。
そして賑やかな…賑やか過ぎる夕食が始まった。
何時もの2人で食べ物を取り合う為、は迂闊に手を出せない。
困っているを横目に酒を飲み、自分の分は確りと確保している。
八戒も悟空と悟浄の隙を見て食べ物を小皿へと移す。
ジープもお構いなしに食べている。
如何も慣れない。
箸を置いて飲み物を口にするしか出来ないでいた。
其処に差し出された小皿。
其の上には料理が食べ易い様に分けて乗せられていた。
「どうぞ」
食べられないでしょう?
と付け加えながら八戒はに小皿を渡す。
「あ、ありがとうござい、ます」
賑やかですね…。
引き攣らせながら笑う事しか出来ない。
「大丈夫です。もう直ぐ静かになりますから」
ウインクしながら言われ聞き直そうと口を開くが、
其の口から言葉が生み出される前に問題は解決した。
三蔵がキレて発砲し2人は静かになった。
「…………」
一般人のにとって余りにも不慣れな食事。
笑って見てられる八戒の神経も、
客が居るのに発砲する三蔵も喧嘩して取り合う悟空・悟浄にも着いて行けない。
大騒ぎだった食事も静かに済み、其々が足早に宿へと戻る。
も八戒に送られて自宅へと戻る。
ジープは別れが惜しくなるから…と着いて来なかった。
「今日は、楽しい食事をありがとうございました」
自宅まで送って貰った御礼と次の町へと行く為の別れ。
そうする為に八戒はを送りに来たのだ。
「いえ、こちらこそとても楽しかったですよ」
笑い合って別れ様とする2人。
「ジープにもよろしく言っておいて下さい」
送りに来なかったジープへの別れの言葉。
八戒を通じて届けて貰う。
「ええ、ジープも喜びます」
そろそろ話しが続けたくとも続けられない状況になって来た。
2人の口からは何も生まれない。
沈黙だけが夜の町にいる八戒とを包んだ。
「じゃあ、私はこれで」
挨拶もそこそこに家に入ろうとするを見送る。
「あ!」
大きな声を挙げる八戒を振り返れば、
歩いた分の距離は八戒によって縮められていた。
「何か?」
未だ何か言い忘れた事が在ったのかと身体を八戒の方へ向ける。
「さん」
名前を呼ばれ見上げれば目に映るのは綺麗な新緑の瞳。
理解出来ずにボーっとしていると、
不意に温かかった物が離れて行くのを感じた。
と同時に新緑の瞳離れて行った。
「…?」
名前に違和感を感じたが何が違うのかも考えられない。
暫く何が起きて居るのか必死で理解し様と心掛けて見たが、
サッパリ解らない。
「」
八戒の顔を下から覗き込んで居ると新緑の瞳見えなかった。
その代わりに、温かい物が今度は唇に触れるのを感じた。
「じゃぁ…僕等は行きますね」
そっと離れてに背を向け八戒は歩き出した。
は其の後姿を見送る事しか出来ないでいた。
そして、触れられた唇を指でなぞりながら
八戒が見えなくなるのを確認すると家へ入って行った。
次の日は一行の前に現れる事無く、
静かに一行が町を出て行くのを見送った。
嬉しそうに微笑みながら…
すいません。優華様
キリ番申告して下さったのにも関わらず、最悪ネタで返しました…。
リク内容にも答えられてないし…。
優華様のみお持ち帰り可能です。
が!返品可能です。其の時はもう一度言って下さい。
優華様、キリ番申告ありがとうございます。
甘くならないし、告白してないし…唯一クリアしたのはキスのみ?!
痛い……