<虹≒Rainbow











雨が降った後に晴れた空。
極々稀に見える虹の架かる青空。
そんな珍しい午後だった。











「あっ虹!虹!!」

今迄一度も大空に架かる虹を見た事のないははしゃいだ。

「ホントだ〜」

「珍Cー

そんな心情等露知らず、周りの反応は薄い物だった。

「何なの〜、ノリが悪いな」

自分だけはしゃいでいる為に周りの反応に不服を抱く。

「興味ねぇよ」

そんな一言で済まされてしまう。

「だからヤなのよ、情緒を解さない人は

両手を肩の位置迄持ち上げ肩を竦める。
ジェスチャー付きで少しバカにした態度を取る。

「おまっ!」

その態度に腹を立てる跡部を無視し一つ下の優しい後輩の元へと向かう。

「ちょたは解るよね!」

自分より遥かに高い後輩を見上げて同意を求める。

「こう言う風に虹を見るのは

仲間を発見し喜ぶを面白くないと践んだのか忍足が二人の所へ近付く。

「他では見た事あるって表現やったなぁ、鳳」

はたった今見つけ出した仲間を奪われまいと必死だ。

「ちょっと止めてよ」

鳳を庇う様に忍足に喰い掛かる。

「今迄見た事ないのかよ」

ピタリとの動きが止まる。
冒頭の通りは見た事がない。
勿論、霧吹き等では小学生の時にやったが。

空に架かる奴はない」

だから嬉しいのだと彼等に言った所で理解される筈がない。

「激ダサだな」

「幼稚園のガキじゃあるまいし」

やはり思った通りの反応だ。

「はぁ虹とレインボーみたいね」

諦めを含め溜め息を吐き部活の仕事へと取り掛かる。
もう一度が空を見上げると虹は消え掛かっていた。

「レインボーって虹の事だろ」

初めてにに同意を求められた後少し離れた所で観戦していた向日が無駄に飛び跳ねながら来た。

「バーカ」

機嫌が悪くなったのかそう一言残すと行ってしまう。

「クソクソッ何だよ!」

そしてまた飛び跳ねる。

ちゃん、虹とレインボーって何が違うの?」

半ば夢の世界にいる様だが起き様としているのか眼を擦る。

「ジロー君

彼の一言が嬉しかったらしく向日の時とは全く違う態度を取る。

「虹って何色だと思う?」

「虹は七色でしょ?」

首を傾げながらもね質問に答える。

「幼稚園児だって知っとるやろ」

常識だと言わんばかりの態度は益々の機嫌を悪化させる。

「忍足は黙って!」

少し強めの口調で忍足や周りに釘を刺す。

「はいはい」

これ以上機嫌を損ねてはまずいと践んで口を閉じる。

じゃあレインボーって何色?」

「七色じゃないの?」

虹=レインボーなのだから、虹が七色ならばレインボーも七色。
そう考えるのが普通だ。

「ハズレ〜」

想像通りにはずれたからか先程迄の表情とは打って変わって明るくなる。

「え〜?」

「違うのか??」

流石にそこには周りも食い付き正解を促す。

「じゃあ、虹の色を一色ずつ言ってみて」

七色ある虹の色を指を折りながら数える。

「えっと赤、青、黄……

三色迄数えると薬指を折り曲げながら次の色で詰まる。

「赤、燈、黄、緑、青、藍、紫」

言えなくなってしまったジローの代わりに全ての色を言う。
全部で七色。
これが虹の色だ。

「せきとうおうりょく……せいらんし?」

初めて聞くのか全てあやふやな辿々しい発音だ。

「そ、虹の七色虹の色」

その言葉に感動してか何度も頷く。

「じゃあレインボーは?」

「同じでしょ?」

未だ虹と同じ様七色あると言い張るジローには笑った。

「レインボーは六色だよ」

その一言に大きな瞳を更に大きな物へと変える。

「何で何で?」

彼が目覚めた様だ。
静かに答えを待つ跡部等にも食い掛かる様に近付く。

「知ってた?」

その科白を正レギュラー全員に例外なく尋ねる。
だがその中にジローの問いに頷く者はいない。
知っているのはだけだと言う事になる。
その様子には満足そうだった。

「答えは〜?」

再びの元に来たジローはスキンシップの範囲内なのか抱き付く。

「ジロー君重いよ」

不意打ちを掛けられ驚いた。
がその行動に叱咤を飛ばす事はない。
もう慣れたと言う所だろうか

「レッド、オレンジ、イエロー、グリーン、ブルー、バイオレット」

先程ジローがした様に夢を折りながら数える。
するとの指は六色数えて止まった。

「解った?」

一体何が足りないと言うのだろうか、首を傾げて唸るように考える。

「藍色…indigoだ」

跡部は気付いた様で足りない一色を答えた。

「何で藍色が足りないんだ?」

今迄あまり喋りもせずに耳を傾けていた宍戸が疑問を問い掛ける。

「虹は日本語、レインボーは英語」

不意に言われた言葉だか、それくらい解りきっている。
今更それが何なのかと言う表情でを見る。

「虹とレインボーは物質的には同じ物を表す言葉」

もう見えない虹の架かっていた空を見上げる。
空には薄く残る雨雲が残る。
が、その雨雲も風に吹かれゆっくりと流されて行く。

「見方が違うのよ、虹と言う物の見方が」

そう言うと抱き付くジローの頭を撫でる。
その行動にジローは嬉しそうに眼を細める。

「日本は海に囲まれてる島国でしょ」

説明し始めるの声にジローは頷き続きを待つ。

「海の色は青色でしょ?青色については深いみたいよ」

そこ迄話すと感心しきった顔を向ける正レギュラー達。

「そうなんですか」

「凄いな」

「だから虹とレインボーって色の数が違うんだ」

は自分の言いたかった事が理解され笑う。

ちゃんは物知りだね」

膝の上に乗って眠たそうにする。

「眠い?」

その言葉に返事はなくの肩に頭を預け、すやすやと寝息を立てる。
寝息が聞こえ眠った事に気付くとは呆れた様に息を吐く。

「ジロー寝たん?」

動けないに近付き忍足はジローの顔を覗く。

……寝てるわ」

忍足も呆れた声を出す。

「今日は雨でコートの水はけ悪いから休みにしようぜ」

軽いノリで言っている様だが本気の様だ。
正レギュラー全員がそう思っているのか視線は跡部へと向けられる。

「ッチ………今日の部活は中止だ」

正レギュラーの練習メニューは跡部が決めている。
監督の許可がなくとも跡部が許可を下せば通ってしまう。

「いやったぁ〜!」

飛び跳ねて喜ぶ向日を制して静かにする様にと忍足は言う。
ポカポカとした陽気の所為かそれとも気持ち良さそうに眠るジローの所為か。
もジローにつられる様に夢の世界へと入ってしまった。

「えいっ」

の右側に向日が寄り掛かる。

「俺も寝よっと」

「ほな俺此処な」

向日の隣、の背中に忍足は自分の背中を合わせる。

激ダサだな」

と言いつつも宍戸も少し離れてはいるが座り込み寝る体制を取る。
その様子に少し笑った鳳が宍戸の隣に座る。
樺地は大分離れた所へ座った。
空いているのはの左側。

「ッチ」

本日二度目の舌打ちをしてそこに座る。
ぐらりと姿勢を崩しが跡部側に倒れ込み肩に頭を置く。
丁度ジローと同じ様に。
それに少し驚き顔を覗き見ると健やかに寝息を立てていた。
ジローは体の向きを変えて膝枕をされる様な位置に動く。
その所為では余計に体制を崩し倒れ込む。
慌てて受け止めて元へと戻す。
そしてを囲む様にしてボーっと時間を潰した。
未だ目覚める気配のないを見る眼は全員とても温かい物だった。






























ずっとブログを見て下さっていた方は気付いたかも知れませんが、書きたがってた小説です。
私も知らなかった事だったんで知った時凄く感動しました。
空に架かる虹を見た事って今までに3回位しかないのです。
後、季節外れでごめんなさい。
普通虹って夏場ですよね
ネタを思いついたのが夏で書き出したのが遅かったんです
すみません。
つか此れ誰の夢?

2005/11/4
 修正日 2006/1/30