今日のHRで席替えをした。
特にこれと言って何ら変わりない日。
窓の外は心地良い位晴れてて蝉が鳴いてる。
ジリジリと焼ける様な暑さが外に出歩くのを躊躇させる。
此処が私立で良かったと思う瞬間が教室内のクーラーがバリバリ仕事をしている時。














<銀髪>















何てどうでも良い事を考えながら席を移動させた。
そこで初めて知ったのだ。
自分の席とクラスの仲良い子の席にしか興味がなくて、周り何て気にもしてなかった。
あたしの席は決して良い席とも言えず、悪い席でもない。
真ん中の列は避けられた物のその隣だから大差ない。
一番前でも一番後ろでもない丁度中間。
微妙な席。
早くまた席替えする事しかあたしの頭にはなかったからか…。
自分の前に座る人物に興味すらなかった。
席に着いてから担任がHRの続きを始めた 。

「全員席に着いたか?視力とかの関係もさっきの交換で平気だな〜?」

担任の声がして前を向くと目の前に広がる銀色の髪を一つに縛った頭。

「おぉ、後ろはサンかのぅ…よろしくな」

急に振り返る物だから銀色の長い尻尾が揺れてあたしの視界から消えた。
その代わりに目に映ったのは切れ長の瞳と口元にある黒子。
ムカつく位整った顔。
…こんな人居たっけ??

「…………」

幾ら悩んでも答えなんか出て来ない。
だってあたしには答えなんて持ってないんだから。

「…シカトかの」

「あ、ごめんなさい」

これはシカトに謝ったのかこの人を知らない事に謝ったのか…。
どっちでもあるのかも?

「俺の事知らんのかのぉ」

口の端を綺麗に上げられて馬鹿にする様な彼に腹が立った。

「知りませんけど」

実際知らないのだから他に何も言い様がない。
今更彼に取り繕ってご機嫌を取りたくもないし。
実際面倒だし。

「ククッ面白い奴やのぅ……仁王雅治じゃ」

いきなり人を見下す様な顔をしたかと思うと次は普通に自己紹介何ぞしてる。
2年の時からクラス替えはしてない。
と言う事は…1年以上前に自己紹介されていて、あたし自身もしていると言う事。

「…デス」

今更自己紹介をするとか馬鹿げてるけど、あたしに取ってはハジメマシテ。
元々あたしは人の顔と名前を一致させるのが得意じゃない。
…寧ろ苦手。
だから今自己紹介しても明日には忘れてしまうかもしれないのに。

「お前さん人の顔と名前覚えるの苦手じゃろ?」

疑問系な文なのに首を縦に動かす事しかさせてくれない目線。

「な、んで…解ったの?」

これにはもう驚くしか出来ない。

「一年以上同じクラスぜよ、気付かん方が可笑しいなり」

九州の方言かな?
なんか暖かい言葉。

「まぁ、一日で人を覚える事はないけど」

「……最高で何日じゃ?」

「一週間位だったかな」

「なら俺は三日じゃ」

…何が??

「三日で俺の事覚えさせちゃる」

覚悟せぃって付け加えて前向いちゃった。
銀髪の後ろで纏めてる髪が揺れた。
銀髪を束ね結ぶ赤いヘアゴムが妙に似合ってた。





















三日で人の名前を覚えるなんてあたしには無理だろうけど、頑張ってね。































初の立海が仁王です♪
とある科白を仁王に向かって言わせたい!!って思った結果がこの話。
書き始めたら意外に楽しくなっちゃって続きを書いてる次第です。
…と言うかこの時点で未だその科白出て来てないんです(笑
気長に待って下さると嬉しいです。

2007/08/14