「ねぇ、キスしても良い?」

日曜日の昼下がり、昼食も取り終え程良く眠気も襲って来ている。
そんな中、ふと何の前触れもなくにこやかな笑みを浮かべているが、瞳は本気な様だ。

「…何を急に言ってんだよ」

普段、2人きりだと言っても自分からは絶対にそんな事は言って来ない。
”おねだり”ってヤツだ。
嫌じゃねぇし…寧ろ嬉しい。
が、普段言わないヤツが何を考えてそんな事を言ってるんだか。

「ダメ?」

さっきまで、いつもと同じ様に2人で出された課題をやっていた。
その時は何の変わりもなかった。

「何時も、言わねぇだろ?」

美味しい状況なのは解ってる。

「……」

ソファに座ってる俺の横から覗き込む様に見ていた。
ゆっくりと正面に移動して、ソファに膝を付いて俺の事を上から見つめた。
逆の立場…と言うか、位置が逆だからだろうか。
少しだけ嬉しそうに笑っていた。
首に手を廻して、額が互いにくっ付く程近付く。
肩に掛かる程の髪を掻き上げると、自分のとは違うシャンプーの香りがした。

「跡部…」

空いてる手で頬を撫でるとくすぐったそうに首を竦めた。
その儘視線を絡めあっていると、恥ずかしそうに顔を赤らめた。

「景吾だ…何があった?」

別に悪い事があった訳ではなさそうだ。

「何でもないよ?……景吾」

俺の後ろに廻された腕は、背中を包み込む。
ぎゅっと力を入れて副を掴む手が、指が…。
少しだけ震えている気がした。





それが、気の所為でなければ良い。





リハビリ小説第一弾。
当分は超短編を書いたらUPして行く形になるかも?!
その際TOPでの報告はあってもサーチサイト様での報告はないかもです。
2006/05/27